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2022/12/02 13:14

読み出してすぐ、その英語にちょっと手強い…と感じました。難しい単語や表現が出てくるわけではないのですが、私には読み通すのが結構難しく、読み終わるまで時間がかかりました。登場人物が結構多いのと、スコットランド訛りの多い話し言葉…。

さらに話の内容も、心を締め付けられるような辛いもの…。主人公は少年シャギーですが、物語の中心はシャギーの美しい母・アグネスといえます。アルコール依存症で夫や2人の子どもに見放された彼女の物語が、ただ一人残った、末の子シャギーの目を通して、語られます。

シャギーは作者自身がモデル。それもあって、物語は三人称の語り口にも関わらず、シャギーがその場面にいなくても、読者はまるで、かわいそうな母を見守るシャギーになったような気がします。なので余計に辛いのかも。

救いなんてなさそうな物語ですが、シャギーと兄とのちょっとした兄弟がふざけ合うやり取りや、母の荒んだ心に優しく触れ、励まそうとするシャギーに心が温かくなります。

シャギーは男の子っぽいものや遊びに興味がなく、人形や洋服に興味をもつ子供。作者もファッションデザイナーでありながら、小説家としてデビューした異色の経歴で、彼の自伝ともいえます。

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